樹なつみ作『花咲ける青少年』がアニメ化。
本屋にて、それ関連で出版された
愛蔵版にて知りました。
大好きな作品だし、懐かしいが、
なぜ今頃アニメ化?さて、この作品は
15年くらい前(だったと思う。もっと前だっけ?)に
連載されていた少女まんが。
カリブの孤島で世間から隔離されて
育てられた主人公の少女・花鹿。
彼女はアメリカ系の大財閥の娘。
身の安全のためだった。
14才になり島から出ることを許され、
一代でその財閥を築いた父親ハリーに、
彼女は重い宿命を背負っていることを告げられる。
そして、その宿命から自身を守ってくれる
夫を決めるゲームをしようと持ちかけられる。
夫が決まったときにその宿命は明かされる。
父親が選んだ3人の男性と、
花鹿は出会う。
そして運命は大きく回りだす・・・。
こう書くととても少女まんがらしい設定で、
この後、次々とイケメンが現れては
花鹿と恋愛寸劇を繰り広げて
「みんな素敵な人。私はどうしたらいいの!!」
などという陳腐な恋愛マンガを想像するなかれ。
そんな物語をおいらが好きなはずなかろう。
主人公自身がまずとても魅力的だ。
彼女が育ったカリブの島は未開発の地。
土着の民族に彼女は育てられ
その影響をモロ受けている。
なので、上流階級の人間らしくない。
ましてや読者たちのような日本の庶民ですらない。
自然に育まれて成長し世間ずれしているが
一本芯が通っていて強くしなか。
自らの足で生きていくタイプ。
かといって完成された人間ではなく、
14・5の少女で未熟でもある。
特に恋愛に関しては、
相当奥手。父親を好き、友達が好き、
のレベルと、恋愛の好き、
の差がわからない。
物語りの主軸は夫探しなので
夫を選ぶって?
人を好きになるって?
と悩む。
それは一見、微笑ましいようだが、
愛について真摯に立ち向かう姿は、
多くの読者(少女)の
『クラスの誰々君がカッコイい〜。』の
レベルからは高い次元にいる。
恋愛に関わらず、
物事の本質を見つめようとする花鹿。
直感的に彼女はそれを行っている。
父親譲りのカリスマ性も持ち合わせ、
なんとも不思議で魅力的な主人公。
この物語の始まりは
日本の普通の中学校から始まる。
あっという間に舞台は世界に変わってしまうのだが、
花鹿が日本の普通の中学校に
転校してくるところから物語りは始まる。
そこで花鹿が仲良くなった少女ゆい。
のちに彼女は花鹿のことを
私の初恋とモノローグで表現するシーンがある。
ゆいは極々普通の日本の女の子。
読者、等身大の存在といえる。
きっと読者もゆい同様に花鹿に惹かれるだろう。
さて、物語の主軸は夫探しなので、
当然色々なタイプのイケメンが次々と出てくる。
ここが少女漫画としての最大の魅力であろう。
主人公の父親の財閥と協力関係にある
華僑の大財閥の若きトップ、
フランス貴族の末裔である
浮き世離れした美男子、
近代化が始まったばかりという
アジアの小国の王子、
花鹿の父親のライバル財閥の息子・・・。
夫候補に限らず他にも
脇キャラも魅力的な男子がわんさか出てくるのである。
彼らもまたそれぞれに未熟で、
花鹿との関わり、
ストーリーの中で成長していく。
前置きが長くなってしまった…。
このように、少女まんがらしく、
イケメンわんさかで
少女の萌えツボをグイグイ圧しながら、
それにとどまらない、
樹なつみのストーリーの重厚さを
俺は訴えたいのだよ。
これからがおいらの本題。
夫候補としてアジアの小国の王子が出てくるが、
この国は物語のキーとなる国で
花鹿の実家にとっては因縁の国。
架空の国である。
王政国家で、独自の宗教が信仰されている。
王は神の代弁者という立場で神聖視され、
その力は絶大。ちょっと前までは、
鎖国状態で、近代化し始めたところ。
だから、欧米的なというか
資本主義的な文化に無縁ではないが、
さほど浸透しておらず、
従来の独自文化を軸に成り立っている。
新しい文化(資本主義)と
従来の文化で揺れ動く国、
と不安定な国だ。
で、政治が腐敗してたり、
内乱が起こっちゃったりするのだ。
アジアの小国で、
そんな状態の国なのだが、
先進国にとっては重要な国。
石油の産出国なのだ。
鎖国状態だったので、
市場にそんなに開かれてない。
近代化の渦中にあり、
不安定なだけに、
他国によるその利権争いもその裏見え隠れする。
花鹿の実家は世界をまたにかける
アメリカ系大財閥。
その力は世界の経済・政治に影響を及ぼす。
そのアジアの小国の利権争いに無縁ではない。
物語の後半はこの小国の動乱に乗って
進んでいく。
世界の経済・政治・軍事力のバランスが
現実的に描かれた世界観の中で、
アジアの小国のストーリーは紡がれるのだ。
花鹿の夫探しのゲームなんてなくても、
それ自体が骨太のストーリーで
とてもおもしろい。
おいらは、マンガ好きだが、
基本的に少女まんが好きだ。
おいらの好きなマンガは
古い少女マンガが多い。
もしくは大御所ともいうべき
おいらが少女時代にすでにそれなりの
キャリアがあった漫画家さんの作品が好きだ。
なぜなら、マンガはストーリーが
なけりゃダメだと思ってるし
しかも少女の夢がなけりゃだめなんだ!
という、おいらの主張に対し
『花咲け〜』は見事にマッチする。
少女漫画的ではないものの重みがあって面白い
アジアの小国の動乱を描きながら
あくまで花鹿の夫探しゲームが主軸のストーリー。
花鹿含め魅力的なキャラクター。
アジア小国ような政治や経済などの、
歴史大河的な物語はどうしても
説明的になりがちでうるさく感じてしまう。
そうなると少女漫画としては
主軸の話(夫探しゲーム)も色あせて
物語がたるみがちなのが、
そこを、魅力的なキャラクターたちで
少女の萌えツボを圧しながら
グイグイと世界情勢を描く物語に
引き込ませる手腕は見事。
まっ多くの読書者が期待するであろう
花鹿と夫候補のラブラブなシーンは
あまりないけど。
というわけでアニメ放送しているので
興味ある人は見てください。
4月始まりなのですでに何回かは終わってるし
テレビを見ない私は見てないけど・・・。
ちなみに、魅力的キャラも押しましたが
連載当時、おいらの萌えつぼは
花鹿の父・ハリーだった。
今回、読み返しても
やっぱりハリーはかっこいい。
今も昔もおっさん好きが
証明されたことになる。
・・・。
ちょっとイタイ。
この物語を知っている方、
皆さんは誰が好きですか?
と、ここまで書きながら
樹なつみ作品は
『OZ』がいちばん好きです。
『花咲け〜』の方が少女マンガ的ですが・・・。